目でみるページ 糖尿病と感染症
糖尿病と歯周病の1例
Diabetes Frontier Vol.23 No.6, 637-640, 2012
「はじめに」歯周病のうち最も発症頻度の高いのは, 口腔の清掃不良を主要因とする慢性歯周炎であり, いわゆる生活習慣病の1つといわれている. 歯周病は, 糖尿病に伴う易感染性によって重症化すると考えられてきたが, 一方で歯周病が, 生体内で軽微な慢性炎症として作用し, 糖尿病の病態そのものに影響を及ぼすことも明らかにされつつある1). 当施設で, 重症の背部皮下膿瘍にて緊急入院となり, その際に2型糖尿病および歯周炎を初めて指摘され, 積極的な治療的介入を行い良好な経過をたどった1症例を経験したので, その経過を提示する. 【症例】39歳, 男性【主訴】発熱, 全身倦怠感, 右腋窩から側胸部の疼痛【既往歴】38歳, 背部皮下膿瘍摘出【家族歴】父: 糖尿病(インスリン加療中)【生活歴】飲酒歴: 機会飲酒, 喫煙歴: 40本/日×20年間(5年前から禁煙)アレルギー歴なし【入院時内服薬】市販の解熱鎮痛薬のみ「現病歴」以前から多尿・口渇を自覚していた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。