特集 糖尿病と妊娠における新たな展開
糖尿病母体児における子宮内環境の影響~胎児の代謝および出生後の短期的・長期的問題点~
Diabetes Frontier Vol.23 No.4, 451-455, 2012
「はじめに」糖尿病母体児(infant of diabetic mother:IDM)は, さまざまな問題を起こすことが知られているが, 出生前および出生後の短期と長期の影響について述べる. この影響は妊娠中の母体糖代謝異常に起因するものである. 「I. 胎児への影響」糖尿病合併妊娠の影響は, 妊娠期間で変化する. 妊娠の第1三半期(first trimester:~妊娠14週)では胎児奇形と流産の頻度の増加が, 第2および3三半期(15~28週および29~42週)では胎児の高インスリン血症が問題となる. 「1 第1三半期」妊娠初期の母体の高血糖により胎芽(妊娠8週以内を指す)の発育抑制, 流産, 奇形の発生が起こる. 胎芽の発育抑制は軽度で, その後の成長に対する影響, 胎児奇形との関係は不明である. 流産の率も母体の高血糖の程度に依存するといわれているが, 具体的な危険度はわかっていない. 胎児の奇形の発生頻度の上昇については, 臨床的にもまた動物実験でも証明されている.
「key words」IDM,短期予後,長期予後,Barker仮説
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。