特集 糖尿病と妊娠における新たな展開
糖代謝異常合併妊娠と甲状腺疾患
Diabetes Frontier Vol.23 No.4, 445-450, 2012
「はじめに」自己免疫性甲状腺疾患は妊娠可能年齢の女性に好発し, 甲状腺機能異常や自己免疫異常は妊娠成立, 妊娠維持, 妊娠中の母体や児に悪影響を及ぼす1). また, 甲状腺ホルモン過不足は糖代謝に影響を及ぼすため, 糖代謝異常合併妊娠においては, 甲状腺機能も念頭においた血糖コントロールと母体の管理が必要である. 特に, 1型糖尿病は自己免疫甲状腺疾患合併率が高いので, 妊娠前から甲状腺自己抗体や甲状腺機能のチェックを行い, 甲状腺機能を正常化しておく必要がある. 産後甲状腺機能異常は一般女性でも10~20人に1人の割合でみられるが, 1型糖尿病ではその3~4倍のリスクとされている. 糖尿病女性, 特に1型糖尿病の場合には, 産後甲状腺機能異常合併に注意を要する. 「I. 一般女性および妊婦の甲状腺疾患の頻度」日本における妊娠可能年齢における甲状腺疾患の罹病率に関する確かなデータはないが, 平成13年国民生活基礎調査によると, 25~45歳までの甲状腺疾患で通院している女性は人口1,000人あたり約6~9人であった.
「key words」糖尿病,妊娠,甲状腺機能異常
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。