特集 糖尿病と妊娠における新たな展開
血糖コントロールはどこまで厳格にすべきか~健常妊婦の血糖値をふまえて~
Diabetes Frontier Vol.23 No.4, 413-417, 2012
「はじめに」糖代謝異常妊婦では, 母体の高血糖により種々の母児合併症が起こり得る. 特に先天異常を防ぐためには, 妊娠初期の血糖コントロールを良好にすることが大切であり, そのためには妊娠前から妊娠中も継続する厳格な血糖管理が必要である. 血糖値は食事・運動・インスリンの量や時間帯により1日のうちにかなり変動するため, 個々の自己血糖測定(self monitoring of blood glucose:SMBG)内容を把握し比較することは難しい. そのため, 従来より1~2ヵ月前からの平均血糖指標であるHbA1cを母体の血糖管理指標として用いてきた. 最近はグリコアルブミン(GA)も使用されてきており, 2週間前からの血糖コントロール状態をみながら管理することも可能になった. 本稿では, 健常妊婦の血糖値や血糖管理指標と新生児合併症の頻度などの結果を基に, 妊娠前から妊娠中の血糖コントロールはどこまで厳格にすべきかについて, 解説する.
「key words」糖代謝異常妊婦,周産期合併症,HbA1c,グリコアルブミン(GA),血糖自己測定(SMBG)
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