<< 一覧に戻る

特集 糖尿病と妊娠における新たな展開

妊娠時に診断された耐糖能異常~新しい診断基準の意義と問題点~

安日一郎

Diabetes Frontier Vol.23 No.4, 400-406, 2012

「はじめに」2010年6月, 日本産科婦人科学会および日本糖尿病学会の両学会において妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)の新しい診断基準1)が承認された. この新診断基準の導入は, われわれ産婦人科医が30年余りも未解決のまま抱え続けてきた論争に終止符を打つという意味で, きわめてエポックメーキングな出来事となった. 一方, この新診断基準の提案は, 世界各国の産科医療の現場に少なからぬ混乱を生じさせるとともに, 新たな課題と論争点を提供しているのも事実である. ここではGDMの歴史をふまえて, この新診断基準の意義と問題点について概説したい. 「I. GDMという疾患概念の歴史的背景」「1 ボストンGDM研究」GDMはもともと「妊娠中にGDMと診断された女性は, その後の将来にわたる糖尿病発症のリスクが高い」という疾患概念として提唱された. 「妊娠と将来の糖尿病発症」との関連についてのアプローチは1930年代に遡る.
「key words」妊娠糖尿病,妊娠時に診断された明らかな糖尿病,診断基準,周産期管理

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る