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特集 私が経験した大震災からみた糖尿病対策への提言

東日本大震災の経験から Ⅴ 福島県の経験から(2)東日本大震災が糖尿病患者に与えた影響―原発事故により多くの人が自主避難した福島県いわき市からの報告―

種田嘉信

Diabetes Frontier Vol.23 No.2, 183-189, 2012

「はじめに」 2011年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災は, 岩手, 宮城, 福島の東北地方太平洋沿岸部に甚大な被害をもたらした. さらに, 福島は, 第一原子力発電所事故により県全域が放射能に汚染され, いまだに収束をみていない. いわき市は福島県浜通り南部に位置し, 県内で最大の人口(2011年12月1日現在333,626人), および面積をもつ中核都市である. 原発事故直後に指定された「屋内退避区域(原発から半径30km圏内)」に市北部の一部が入っていたため(図1), 放射能の風評被害により, 食料, 医薬品, ガソリンなどの物流が一時ほとんど途絶えた. ライフライン復旧の遅れ, 度重なる余震, 原発事故と放射能の恐怖などが原因で, いまだ経験したことのないストレスを感じた市民の多くが市外や県外に自主避難した. 避難しなかった(できなかった)人は, 深刻な食料, 水不足に困窮, さらに放射能を心配し, できるだけ外出を控え家の中に閉じこもっていた.
「key words」東日本大震災,糖尿病患者,HbA1c,原子力発電所事故

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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