特集 私が経験した大震災からみた糖尿病対策への提言
東日本大震災の経験から Ⅰ 日本糖尿病協会の対応
Diabetes Frontier Vol.23 No.2, 131-136, 2012
「はじめに」 2011年3月11日に発生した東日本大震災は, 東北地方沿岸部を中心に甚大な被害をもたらした. 糖尿病診療に関しても, 患者・医療機関ともに被災したことで大きな混乱が生じた. 日本糖尿病協会では発生直後より患者の生命を守ることを最優先として, その時点に応じた対応を取ってきた. その一連の活動(図1)を報告し, 今後の災害時の糖尿病診療に役立てたい. 「I. インスリンの確保」 発生翌日3月12日に日本糖尿病協会災害対策会議を開き, 今回の震災に日本糖尿病学会と共同で対応にあたることを確認した. まず最優先で対応したのが, 被災地の患者のインスリンの確保である. この問題について行政の支援を依頼するため, 片山総務大臣を通じて政府への申し入れを行い, 厚生労働省へ要望書を提出した. また, 製剤および関連資材の確保のため企業委員会より各メーカーに安定供給の依頼をし, 製品の輸送に係る緊急通行車両確認標章の発行を日本糖尿病協会より警察に要請したケースもあった(図2A).
「key words」災害対応,企業連携,患者教育,食事と運動の一元化指導
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。