特集 私が経験した大震災からみた糖尿病対策への提言
阪神・淡路大震災の経験から
Diabetes Frontier Vol.23 No.2, 122-125, 2012
「はじめに」 現在から17年前の1995(平成7)年1月17日午前5時46分に兵庫県淡路島北部の北緯34度36分, 東経135度02分, 深さ16kmを震源とするマグニチュード7.2の地震が発生した. この地震により, 神戸市, 芦屋市, 西宮市, 宝塚市, 淡路島の多くの地で震度7~6が観測されたほか, 豊岡, 彦根, 京都で震度5, 大阪, 姫路, 和歌山などで震度4を観測するなど, 東北から九州にかけて広い範囲で有感となった. この災害による人的被害は, 死者6,434名, 行方不明3名, 負傷者43,792名という戦後最悪のきわめて深刻な被害をもたらした. 施設関係の被害状況は, 住家の全壊が約105,000棟, 半壊が144,000棟にものぼり, このため多くの避難者を収容する避難所やその後の仮設住宅の開設が必要となった. ライフライン関係では, 約123万戸の断水, 約260万戸の停電, 約86万戸の都市ガスの供給停止が最大で生じ, 被災者の生活環境の悪化を増幅し, 衛生環境の劣悪化が継続した1).
「key words」阪神・淡路大震災,災害弱者,意識障害,低血糖,災害施策
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。