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糖尿病と救急医療

ICU,CCUにおける血糖管理の考え方

恩田美湖坂本昌也宇都宮一典

Diabetes Frontier Vol.22 No.6, 654-658, 2011

はじめに
 United Kingdom Prospective Diabetes Study(UKPDS)をはじめとする2型糖尿病患者大規模臨床研究では,厳格な血糖管理により心血管系イベントや死亡率の軽減に寄与するという報告が多くなされている。一方で,Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD)試験に代表される近年の大規模臨床試験では,厳格な血糖コントロールは低血糖の頻度を増加させ,総死亡率を上昇させると報告され,糖尿病治療には高血糖の軽減とともに低血糖を予防することの重要性,その治療経過にも注目が集まっている。

key words
糖尿病/大規模臨床試験/ICU/CCU/血糖コントロール

はじめに(続き)

 集中治療室(intensive care unit:ICU),冠疾患集中治療室(coronary care unit:CCU)においても厳格な血糖管理により血漿浸透圧上昇や糖化蛋白を介した血管内皮細胞障害,白血球機能低下,組織再生遅延などを防ぐことで合併症および死亡率を減少させ,血糖管理は生命予後を改善するために不可欠という報告と,厳格な血糖コントロールはかえって有害であるという報告の両者がなされている。これらは対象患者の原疾患重症度,糖尿病の有無とそのコントロールの程度および期間などの異なる背景によって生じていると考えられる。このような状況のなか,現時点では急性期の血糖管理においての具体的な目標値は報告が散見されているがいまだ明確な指針はない。
 本稿では近年のICU,CCUにおける血糖コントロール介入大規模臨床試験の結果より,周術期血糖管理に関する臨床的知見について概説したい。

Ⅰ.強化インスリン療法(IIT)が有効であった大規模臨床試験

 強化インスリン療法(intensive insulin therapy:IIT)は,救急・集中治療領域の急性期管理や糖尿病患者の血糖管理などにおける,厳格血糖管理の方法であり,これまで周術期血糖管理の主流とされてきた。その根拠となっている大規模臨床試験について,以下に述べる(表1)。

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