はじめに  日本における糖尿病患者数は約半世紀の間に約30倍に爆発的増加を認め,現在もなお増加の一途を辿っている。糖尿病は冠動脈疾患発症に関与する重要な危険因子であり,その予防の重要性に疑いの余地はない。しかし,近年,糖尿病の前段階である耐糖能異常,食後高血糖も冠動脈疾患の危険因子であることが明らかとなり,さらに早期における診断・治療介入の必要性が重要となってきている。  急性心筋梗塞の多くは糖尿病をはじめとする生活習慣病が原因となり発症する。急性期血行再建術によりその予後は改善したが,糖尿病合併心筋梗塞患者の死亡率が依然として高いことが問題となっている。そこで本稿では急性期高血糖が心筋梗塞患者に及ぼす影響,急性期血糖管理の予後改善効果に注目して解説する。