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糖尿病と救急医療

高血糖性昏睡の鑑別と急性期治療

石田均

Diabetes Frontier Vol.22 No.6, 611-615, 2011

はじめに
 糖尿病の急性合併症である高血糖性昏睡の成因として,①糖尿病ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA),②高血糖性高浸透圧昏睡(hyperosmolar non-ketotic diabetic coma:HONK),③乳酸アシドーシス(lactic acidosis:LA)があげられる。

key words
高血糖性昏睡/糖尿病ケトアシドーシス/高血糖性高浸透圧昏睡/乳酸アシドーシス/劇症1型糖尿病

はじめに(続き)

 なかでもDKAは1型糖尿病の症例で多くみられ,内因性のインスリン作用の極度の欠乏により,高血糖とともに肝でのケトン体の過剰産生に伴う代謝性ケトアシドーシスを生じる。
 一方でHONKは,高血糖高浸透圧状態(hyperglycemic hyperosmolar state:HHS)もしくは非ケトン性高浸透圧状態(non-ketotic hyperosmolar state:NKHS)とも呼ばれ,主に高齢の2型糖尿病の症例に多くみられる。著しい高血糖を呈すとともに血漿の高浸透圧と高度の脱水を示すが,内因性のインスリン分泌能がある程度保たれているため,過剰なケトン体産生がなく,DKAとは異なり有意な代謝性アシドーシスを呈さない。
 LAは,血中に乳酸が増加する結果,著しい代謝性アシドーシスを起こして昏睡へと至る病態であり,経口血糖降下薬のビグアナイド薬によって生じる重要な副作用の1つである。

Ⅰ.高血糖性昏睡の頻度と死亡率

 DKAは1型糖尿病に多く,その発症率は8.6%と報告されている。近年の報告1)によれば,死亡率は先進国で5%未満,発展途上国では6~24%とされている。
 しかしながら一方で,HONKの頻度については実際のところ正確には不明であり,かつてはDKAの1/6程度とされていたが,なかには報告に至らないこともあることから,実数としてはさらに多いものと思われる。また発症した際にはすでに重症例も多く,死亡率は先進国でもいまだ15%近いとされている。
 LAの頻度に関しては,現在広く臨床の場で用いられているビグアナイド薬のメトホルミンでは低いと考えられているが,いったん生じるとその死亡率は30~80%と高い。
 本稿では代表的な高血糖性昏睡の成因であるDKAとHONKを中心に,それらの鑑別と急性期治療を含めた治療と管理に関するポイントについて概説する。

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