はじめに
普段の生活においては,われわれは概日時計の存在を自覚できる機会は多くない。たとえば,海外渡航時に時差ボケを患うことよって,われわれは概日時計の存在を痛感する。ヒトで実施するのは難しいが,げっ歯類の実験によって明確に概日時計の存在を観察することができる。たとえば,マウスに時間の情報を一切与えないように,小箱の中に入れて恒暗条件下で飼育する。このとき,マウスの行動を回し車や赤外線センサーによってモニタリングすると,明確におおよそ24時間周期の規則正しいリズムを示す。これはすなわち,体内には約24時間を計る自律的ペースメーカー(時計)が存在することを実証している。脳内に概日時計中枢が存在しており,特に哺乳類の中枢は視交叉上核と呼ばれる。この視交叉上核は,左右の視神経が交叉するキアズマに対し,背側からめり込むように存在する小さな神経核である(細胞数約1万,直径1ミリ程度,左右に対をなす)。破壊および移植実験により,その存在が約30年前に証明された。
全文記事
総説
体内時計と生活習慣病
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.22 No.6 597-606,
2011
著者名
明石真
/
野出 孝一
記事体裁
その他
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全文記事
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
糖尿病
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
Diabetes Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。