はじめに
すべての糖尿病患者には,眼科的に無治療であれば失明に至るリスクがあるといっても過言ではない。網膜レーザー凝固は糖尿病網膜症による失明を激減させてきた治療である。その役割は大きく2つある。
①網膜血管新生を抑制して,完全失明を予防する。
②糖尿病黄斑浮腫を治療して,良好な視力を維持する。
とはいえ,網膜レーザー凝固で,すべての糖尿病網膜症を失明から救うことはできない。また,すべての糖尿病黄斑浮腫の治療が可能なわけではない。しかし,網膜レーザー凝固は失明予防の鍵となる治療であることは間違いなく,近年の糖尿病患者の急速な増加に伴い,網膜レーザー凝固がなければ,失明者数が激増していたと考えられる。
さらに最近では,黄斑浮腫に対して網膜レーザー凝固と徐放性ステロイドや抗血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬との併用療法が行われるようになっている。これらの治療は,良好な視力維持,さらにはいったん低下した視力の回復のために,有効な治療法として発展しつつある。
全文記事
糖尿病網膜症診療の最前線
糖尿病網膜症における網膜レーザー凝固
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.22 No.4 385-389,
2011
著者名
村田敏規
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
糖尿病
/
眼疾患
/
その他
診療科目
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
眼科
媒体
Diabetes Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。