はじめに  網膜のほぼ中心に位置する黄斑は,視力に最も重要な部位であり,黄斑に浮腫が生じた状態が黄斑浮腫である。黄斑浮腫はさまざまな眼底疾患に合併するが,糖尿病患者では9~10%に黄斑浮腫が起こり,視力低下の主因となっている1)。糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)の診断は,主に検眼鏡やフルオレセイン蛍光造影(fluorescein angiography:FA)によって行われてきたが,客観的な評価は困難であった。光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は1996年に商品化された診断器機である。網膜の断層像を非侵襲的に描出することができるため,DMEの診断と評価に活用されている。当初のOCTの分解能は20μmであったが,最新のOCTの分解能は3μmに向上しており,網膜視細胞の病態評価も可能である。さらにスキャンの高速化によって数秒で黄斑部網膜を立体的に表示することができる。本稿では,OCTを中心としたDMEの診断と評価,さらにDMEの治療について概説する。