はじめに  外科周術期において厳格な血糖管理が術後感染症の発生を抑制することが知られているが1)-4),厳格な血糖管理に伴う重篤な低血糖発作の危険性が指摘されている5)-7)。NICE-SUGAR studyの結果でも,集中治療室での血糖管理において厳格血糖コントロール群(81~108mg/dL)と通常コントロール群(144~180mg/dL)に割り付けて予後を比較したところ,厳格血糖コントロール群のほうが重篤な低血糖発作が多く(6.8 vs. 0.5% ; P<0.001),通常コントロール群のほうがむしろ予後が良かった,という結果であった8)。したがって至適血糖濃度が確立されていない現在では,むしろ重篤な低血糖発作を回避することが重要視されている9)。さらに,厳格に血糖管理をしながら低血糖発作も回避するためには,頻回の採血とインスリン皮下注射(あるいは投与速度の変更)が必要となり,スタッフの労働負担も問題となる。