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目でみるページ 糖尿病の新しい検査・治療測定機器

人工膵臓(日機装の新しい機器「STG®-55」)

北川博之岡林雄大花﨑和弘

Diabetes Frontier Vol.22 No.4, 337-340, 2011

はじめに
 外科周術期において厳格な血糖管理が術後感染症の発生を抑制することが知られているが1)-4),厳格な血糖管理に伴う重篤な低血糖発作の危険性が指摘されている5)-7)。NICE-SUGAR studyの結果でも,集中治療室での血糖管理において厳格血糖コントロール群(81~108mg/dL)と通常コントロール群(144~180mg/dL)に割り付けて予後を比較したところ,厳格血糖コントロール群のほうが重篤な低血糖発作が多く(6.8 vs. 0.5% ; P<0.001),通常コントロール群のほうがむしろ予後が良かった,という結果であった8)。したがって至適血糖濃度が確立されていない現在では,むしろ重篤な低血糖発作を回避することが重要視されている9)。さらに,厳格に血糖管理をしながら低血糖発作も回避するためには,頻回の採血とインスリン皮下注射(あるいは投与速度の変更)が必要となり,スタッフの労働負担も問題となる。

STG®-22

 日機装株式会社の「STG®-22」(図1)は持続的に静脈血採血(採血量は1時間に2mL以下)を行い,グルコースセンサーがリアルタイムに血糖値を測定することができる。

さらにあらかじめ設定した血糖値よりも上昇(低下)すると,測定された血糖値を基に,内蔵されているアルゴリズムにより血糖管理に必要なインスリン量・グルコース量を演算し,それぞれのポンプで自動的にインスリン(グルコース)を静脈に注入して設定値内に血糖値を是正するclosed loop systemである10)。そのため通常の血糖管理法と比較して,前述の頻回の採血やインスリン皮下注射(あるいは投与速度の変更)が不要であり,スタッフの労働負担の軽減やインシデントリスク軽減に有用である11)。当科ではこれまで400例以上の消化器外科手術において,人工膵臓「STG®-22」を用いた血糖管理を行っており,肝切除,膵切除,食道切除術の術後感染性合併症減少や,在院日数の短縮など良好な結果を得ている12)-15)。STG®-22の特筆すべき最大の利点は,低血糖発作を起こさない安全性にある。われわれはこれまでSTG®-22を使用して,40mg/dL以下の重篤な低血糖発作は1例も経験していない。
 STG®-22の欠点の1つは,サイズが大きく患者がルートで固定されてしまうため,離床の妨げになることである。当科では術後ICUに入室する症例にSTG®-22を使用しており,一般病棟に帰室する際に離脱している。われわれのデータでは,術後侵襲によって高血糖状態が続くのは術後12時間前後であり,この間が最もSTG®-22による安全かつ厳格な血糖管理が有用であると考えている12)。2番目の欠点は,機器の設定やプライミングに時間がかかることである。これらの欠点を次世代型人工膵臓STG®-55は改善している。

STG®-55

 STG®-55は小型化,省力化,操作性向上,安全性向上をコンセプトに開発された。すなわち幅,奥行きがSTG®-22よりもスリム化され,軽量化されている(図2)。

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