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糖尿病フットケア臨床の実際と展望

Ⅱ わが国の糖尿病フットケアの現状,問題点と今後の展望について 看護師による糖尿病足病変の重症化予防のためのフットケアに関する今後の課題

任和子

Diabetes Frontier Vol.22 No.3, 263-268, 2011

はじめに
 「医療制度改革大綱(2005年与党医療改革協議会決定)」に沿って,高齢化社会に伴う医療費の伸びを抑えていくために,医療費を押し上げている要因である,生活習慣病予防や長期入院の是正など中長期的な医療費適正化対策が進められている1)。
 ゴールは,医療費適正化のみならず療養生活におけるQOLの向上である。現在の生活習慣病対策のための施策は,特に発症予防に対応した特定健診/特定保健指導に焦点が当てられているが,患者のQOLの向上のためには,合併症予防,さらにはその重症化予防への取り組みが不可欠である。
 糖尿病においては,痛みなどの自覚症状を伴う神経障害や視覚障害を起こす網膜症,食事制限を要する腎症,足病変,あるいは心血管などの大血管障害などの合併症は,どれも人生の重荷となるものである。したがって,糖尿病合併症の重症化を予防し,QOLを維持,向上させることが療養生活支援の目標である。看護師には,入院や外来でこれらの患者の療養生活支援を行うための効果的な仕組みを作り,プレーヤーとしてかかわる専門職としての役割が期待されている。

key words
フットケア/糖尿病合併症管理料/糖尿病重症化予防(フットケア研修)/障壁

はじめに(続き)

 糖尿病看護におけるフットケアは,足病変の予防的ケアと早期発見や治癒促進に向けたケアにとどまらず,患者自身が足の手入れの必要性を実感し継続的に実施できるように働きかけることに重点をおいている。また,自己管理行動が継続できるように支援を行うことによって,良好な血糖コントロールとQOL維持を目指している。
 2008年4月に,外来での糖尿病看護にかかわる新たな診療報酬として「糖尿病合併症管理料」が新設されて3年が経過した。診療報酬として評価されたことにより,全国で均てん化した糖尿病足病変予防のための支援を行う手がかりを得たといえる。このチャンスを十分に活かして,できるだけ多くの足病変ハイリスクの糖尿病患者に質の良いフットケアを実施することが大きな課題である。そのために,日本糖尿病教育・看護学会では,フットケアを担う看護師を養成するための研修プログラムを策定し,諸団体と協力して全国で研修会を実施してきた。
 本稿では,「糖尿病合併症管理料」について,算定対象,算定要件などを紹介した上で,看護師による糖尿病足病変の重症化予防のためのフットケア(以下,糖尿病フットケア)に関する今後の課題について,糖尿病合併症管理料設定後の日本糖尿病教育・看護学会(以下,JADEN)の活動2)やJADEN主催研修受講者への実践状況調査3)から述べる。

I.「糖尿病合併症管理料」とは

1 算定対象,算定要件

 算定対象,算定要件を医科点数表の解釈平成20年4月版(p.176)より抜粋した(表1)。

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