はじめに  「医療制度改革大綱(2005年与党医療改革協議会決定)」に沿って,高齢化社会に伴う医療費の伸びを抑えていくために,医療費を押し上げている要因である,生活習慣病予防や長期入院の是正など中長期的な医療費適正化対策が進められている1)。  ゴールは,医療費適正化のみならず療養生活におけるQOLの向上である。現在の生活習慣病対策のための施策は,特に発症予防に対応した特定健診/特定保健指導に焦点が当てられているが,患者のQOLの向上のためには,合併症予防,さらにはその重症化予防への取り組みが不可欠である。  糖尿病においては,痛みなどの自覚症状を伴う神経障害や視覚障害を起こす網膜症,食事制限を要する腎症,足病変,あるいは心血管などの大血管障害などの合併症は,どれも人生の重荷となるものである。したがって,糖尿病合併症の重症化を予防し,QOLを維持,向上させることが療養生活支援の目標である。看護師には,入院や外来でこれらの患者の療養生活支援を行うための効果的な仕組みを作り,プレーヤーとしてかかわる専門職としての役割が期待されている。