I.糖尿病の地域連携はなぜ必要か  急増する糖尿病に対して,病院の糖尿病専門医のみが受けもつ時代は終わった。病院勤務医が不足し,医療過疎が深刻化している地域では,これまでの病院勤務医と診療所医師の役割分担を再度見直し,より一層の機能分担を進め,連携強化を図ることが地域医療の再生には不可欠である。当面の課題は,糖尿病診療にかかわる地域の医療機関の平準化とレベルアップである。具体的には,中核病院の糖尿病専門外来から診療所の非専門医へ技術移転することにより,診療所でもインスリン自己注射患者の管理が可能になることである。さらに,患者1人ひとりの病態に最適化した糖尿病診療が,非専門医のかかりつけ診療所において可能になることである。糖尿病の医療連携は,連携する病院とかかりつけ診療所の間で,診療情報の共有とともに,インスリン療法を含む糖尿病診療が同じレベルでシームレスに継続することが何よりも不可欠である。