糖尿病連携パスを巡る諸問題
Ⅰ 地域における糖尿病医療連携パスの現状 糖尿病連携パス運用における事務局の役割
Diabetes Frontier Vol.22 No.2, 159-163, 2011
はじめに:佐久平から糖尿病で苦しむ患者を出さない
佐久総合病院は長野県の東信地域に位置する病床数821床の地域中核病院である。
東信地域には4つの医師会があり,当院はその中の佐久医師会に所属している。佐久医師会には糖尿病を専門とする医師を中心に組織する佐久平糖尿病ネットワーク(SDNet)がある。SDNetは「佐久平から糖尿病で苦しむ患者を出さない」をスローガンに佐久平の医療の標準化や糖尿病指導者の育成などを行っている。SDNet地域連携クリティカルパス(以下,連携パス)を,SDNetに所属する3つの基幹病院の医師と,看護師・栄養士・事務などコメディカルチームで作成することとなった。検査や治療の摺り合わせの会議を行い,まず,地域医療機関にアンケートを行い連携パスの受け入れ状況などを確認し数回に渡る会議を経て連携パスが完成した。
key words
佐久平糖尿病ネットワーク(SDNet)/基幹病院とかかりつけ医の二人主治医制/循環型パス/「糖尿病は地域で診る」
はじめに:佐久平から糖尿病で苦しむ患者を出さない(続き)
私は佐久総合病院地域医療連携室の事務職であるが,医療チームの中で事務職が直接医療に関われることは少ない。しかし,連携パスにおいては「運用」という連携の要の部分がある。連携パスで紹介する側,紹介を受ける側,そして患者自身が何らかのメリットを感じなければ面倒になり使われなくなってしまう。この運用の部分で,特に紹介する時に必要な医療機関の紹介状や書類などの準備,紹介を受ける時のスムーズな受け入れを事務職として担当している。
2008年1月に運用が開始され,3年が経過する糖尿病地域連携パスの事務局としての役割を述べる。
I.糖尿病地域連携パスの紹介:二人主治医制
糖尿病地域連携パスは,3つの医療機関(SDNetの会長が所属する佐久市立国保浅間総合病院・筆者が所属するJA 長野厚生連佐久総合病院・佐久穂町立千曲病院)を基幹病院とし,佐久医師会からの登録された,18 医療機関(かかりつけ医)をつなぐネットワークのツールとして作成された(図1)。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。