総説
ω3脂肪酸
Diabetes Frontier Vol.21 No.6, 659-666, 2010
「はじめに」 ω3多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFAs)はデンマーク領グリーンランドのイヌイット族での心筋梗塞の死亡率が5.3%とデンマーク本国の白人の34.7%と比較して大幅に低いことや, 沖縄の住民の心筋梗塞発症の低さを説明する因子として疫学観察研究により見い出され1)2), 栄養学的な面のみならず薬理学的な面からも注目されてきた. 主たるn-3 PUFAsにはαリノレイン酸, エイコサペンタエン酸(EPA), ドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれるが, 魚油に多く含まれるEPA, DHAが心血管疾患の低減に関与すると考えられる. 過去30年間に渡って, n-3 PUFAsに関する大規模な疫学研究, 臨床試験が積み重ねられ, 心血管疾患に対するエビデンスが蓄積してきた. また, 最近ではn-3 PUFAsの作用機構に関しても, その代謝物の作用に関してや, n-3 PUFAsが核内受容体や細胞表面受容体などに結合して, シグナル伝達を介して作用する機構が分子レベルで明らかになってきている.
記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。
M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。