糖尿病と口腔ケア
歯周病は糖尿病の動脈硬化の進行促進因子になるか?
Diabetes Frontier Vol.21 No.5, 553-557, 2010
「はじめに」近年, 糖尿病のみならず糖尿病による慢性血管合併症(動脈硬化)も増加の一途を辿り, わが国の医療経済に大きな問題を投げかけている. そのために, 糖尿病や動脈硬化の成因ならびに治療方法を明らかにすることが急務である. 動脈硬化に寄与する因子としてこれまで, コレステロール, 血圧, 喫煙が重視されてきた. しかし, これら3因子では2型糖尿病における動脈硬化の25~30%しか説明がつかない1). したがって高血糖, 慢性軽微炎症, インスリン抵抗性など他の因子の関与も考慮する必要がある2). 本テーマである歯周病は, 糖尿病患者における高血糖, 慢性軽微炎症, インスリン抵抗性に関与する可能性がある. 歯周病とインスリン抵抗性については本誌の別のセクションで取り上げられるため, 本稿では歯周病と高血糖ならびに歯周病と慢性軽微炎症の関係について筆者らの成績も報告し, 歯周病が糖尿病の動脈硬化の進行促進因子になり得るか否か私見を述べる.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。