糖尿病と口腔ケア
特集にあたって
Diabetes Frontier Vol.21 No.5, 535-536, 2010
歯周病はグラム陰性菌の感染で惹起される感染症であるが, 近年生体にとって軽微な慢性炎症としてとらえられるようになった. この概念に基づいて(1)歯周炎症を放置することで糖尿病の発症リスクが亢進する可能性, (2)歯周病を治療することで耐糖能が改善する可能性が確認され, 従来の『糖尿病の合併症としての歯周病』とのとらえ方から, 『糖尿病のリスク因子としての歯周病』とのとらえ方, すなわち新たな概念が提唱されるようになった. 歯周病が耐糖能に影響を及ぼす可能性を最初に示したのがHisayama studyである. 1988年から1998年の10年間で新たに耐糖能異常を生じた住民はそうでない住民に比べ, 歯周病がより重症化していた. ただこの調査は, 後ろ向き調査でありベースライン時の歯周病の状態が不明であったため, 耐糖能異常が先なのか歯周病が先なのかが曖昧であった. 近年, 重症の歯周病が糖尿病の発症リスクを亢進することを示す論文が相次いで発表れた.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。