<< 一覧に戻る

総説

糖尿病と妊娠

大森安恵

Diabetes Frontier Vol.21 No.5, 527-534, 2010

「はじめに」どの分野においても特徴ある歴史的な流れがあるように, 糖尿病と妊娠の領域でもいろいろ変遷がみられている. インスリンが発見され, 使い方が未熟で子宮内胎児死亡が多い頃, 胎児の剖検所見が研究の主流を占めていた時代があった. その膵ラ島β細胞の増殖像から, Pedersenは巨大児の成因としてのHyperglycemia-Hyperinsulinism Theoryを創り提唱した1). インスリン治療法が進歩した昨今では, インスリンアナログの時代になって, 持効型溶解インスリンの胎児, 母体に対する安全性が取り上げられ, 臨床研究が進んでいる. さらに新しい妊娠糖尿病の定義, 診断基準が公表され話題になっている. 主としてこれらの周辺について記述しようと思っている. 「I 糖尿病妊婦の治療目標は血糖正常化」私が医師になりたての昭和30年代は, 糖尿病患者の妊娠は危険だから妊娠すべきでないという不文律があった. しかし欧米では糖尿病妊婦治療の歴史は, 1921年インスリンの発見と同時に直ちに始まり不可能が可能となった.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る