全文記事
肥満治療の最前線
脂肪細胞移植を用いた肥満症治療
掲載誌
Diabetes Frontier
Vol.20 No.3 319-323,
2009
著者名
武城英明
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
代謝・内分泌
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糖尿病
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再生医療
診療科目
一般内科
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形成外科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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老年科
媒体
Diabetes Frontier
「はじめに」 脂肪細胞は脂肪蓄積に加えてさまざまな機能を有する. 脂肪組織と個体の代謝との間の新たな調節機構が分子レベルで解明されてきた. この多機能性を備える脂肪細胞がそれぞれの機能を発現する背景には, 他の組織細胞とは異なった分化成熟過程における特殊性がかかわる. 脂肪細胞は, 発生から分化, 成熟し, ときに病態にかかわる過程において, 固有の形態変化と機能変化を示す. すなわち, 増殖した細胞が脂肪滴を蓄積するように分化するとともに成熟過程でさまざまな遺伝子制御が働く. この機能蛋白が, 脂質蓄積を介して, または脂質蓄積と密接に関連しながら周辺細胞に留まらず遠隔組織との相互作用を可能にする. このような一連の変化は, 主に培養細胞を用いることにより脂肪蓄積と遺伝子, 蛋白発現プロファイルなどを通して捉えることができる1)2). 個体からみると脂肪組織は, 過剰となった場合(肥満症)に加えて不足する場合(脂肪委縮症)にも糖脂質代謝を維持できない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。