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総説

心疾患の危険因子としての糖尿病の性差

野田光彦

Diabetes Frontier Vol.17 No.6, 723-730, 2006

「はじめに」糖尿病が冠動脈疾患の危険因子である点は, すでに確立されているといってよい. 本稿では, 糖尿病が心疾患, とりわけ冠動脈疾患に与えるインパクトに男女差があるかという点を主軸に, 論を進めていきたい. I 糖尿病の有病率, 発症率の性差 その前提として, 糖尿病の発症率, 有病率の性差について, まず考察する. わが国における糖尿病の発症率1), 有病率1)2)は, 男性において女性に比較して高率であるが(図1;50歳以上では男女比1:0.5程度), これは世界の各国において一般的な現象であろうか. たとえば, 1988年から1994年にかけて行われた米国の国民栄養調査にあたるNHANES(National Health and Nutrition Examination Survey)の第3回の調査(NHANES III)の結果からは, 男女間の有病率にはほとんど差がない(図2)3). ほかには, たとえばオーストラリアの調査では, 糖尿病の有病率の男女比は55~64歳で1:0.57, 65~74歳で1:0.75, となっている4). このように, わが国の糖尿病の有病率は世界的にみて大きい部類に属するといえ, ある意味でユニークな存在であるともいえるであろう. またこの点は, わが国における冠動脈疾患の罹患率に男女差が大きいことの一因となっていることを推測せしめるものであるともいえるであろう.

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