5年生存率は年々緩徐ながら延長しているものの,進行(Ⅳ期)肺がんの予後はきわめて悪い。さらに,肺がんは高齢者に多く,喫煙と関連があるため呼吸器系や循環器系の併存症も多い。進行肺がんに対する薬物療法は,非小細胞肺がんを中心にバイオマーカーによる個別化治療が実践されてきたが,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療により5年を超える長期生存を達成する患者が増加してきた。さらに,劇的に効く患者や時間が経って有効であることが判明する患者も散見され,治療をどの時点で終了するかの判断がきわめて難しい。そのような状況の肺がん患者をスムーズに終末期医療へ移行させる方法として,がん治療医によるadvanced care planning(ACP)の実践と,がん治療医と緩和ケア医の2人主治医制が重要である。くわえて,いかなる時期にも治療効果を認める患者がいることを共通認識としてもち,終末期医療に移行した後でもがん治療医と緩和ケア医とが深く連携することが必要である
特集 緩和ケア病棟が変わる:紹介のタイミングとその後の療養
緩和ケア病棟での療養を提案する立場から
③肺がん:肺がんの個別化治療と終末期緩和ケア
掲載誌
がん患者と対症療法
Vol.28 No.1 24-28,
2019
著者名
佐々木 治一郎
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
癌
/
緩和医療
/
看護
診療科目
緩和医療
/
腫瘍内科
媒体
がん患者と対症療法
Key Words
分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬,advanced care planning(ACP),2人主治医制
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。