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がん病変の治療とともに歩む緩和ケア

がん治療の推進における緩和ケアの役割

Role of palliative care in the propulsion of cancer treatment

越川貴史安里美佳

がん患者と対症療法 Vol.22 No.2, 35-39, 2011

Summary
 がん治療の推進では,がん性疼痛マネジメント,在宅支援など緩和ケアが関わることで患者のQOLを向上させることが可能になる。そのためには,早期からの導入や制度の理解,多職種の協力が不可欠である。症例を提示して,現状について報告する。

In the propulsion of cancer treatment, involvement of palliative care services including cancer pain management and home-care support can improve the quality of life of patients. To put it into practice, early introduction of palliative care, understanding of the nursing care system, and multidisciplinary collaboration are essential.

Key Words
■疼痛マネジメント(pain management) ■在宅支援(home-care support) ■介護保険(nursing-care insurance)

はじめに

 近年の緩和ケアは,がん治療の初期段階から並行して行われることが多くなってきている。また,がん対策基本法においても,「国及び地方公共団体は,がん患者の状況に応じて疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること」と定められている。以前は医療用麻薬が必要になった段階で治療を中止する時代もあったが,最近は治療中であっても疼痛があれば必要に応じて医療用麻薬を積極的に投与するようになった。このように,がん治療と緩和ケアは両輪で対応することが増えてきた。筆者は,病院(7対1看護の一般病床),在宅療養支援診療所,訪問看護ステーション,居宅介護支援事業所の4つの組織からなる緩和ケア中心の法人を経営しており,がん患者の早期からの緩和ケアの提供および在宅療養の支援に積極的に取り組んでいる。
 本稿では,その経験から緩和ケアがどのようにがん治療に寄与しているかを述べ,また具体的に症例を提示し解説する。

緩和ケアの範囲

 緩和ケアの提供は,以前は終末期医療が中心であったが最近はがんと診断された時点から関わることも多くなり,「緩和ケア=終末期医療」という考えも過去のものとなってきている。さまざまながん治療を行うなかで,緩和ケアとしての関わりは患者の疼痛コントロールをはじめとした症状マネジメント,多職種による患者や家族の心理的・社会的な支援,また在宅医療への調整などがある。緩和ケアを享受するにはホスピスケアのような終末期ではなくがん治療と並行しての早期からが望ましいが,「緩和ケア=終末期医療」との考え方は患者だけでなくいまだ医療者側にも根強くある。そのため終末期に入ってからの導入となることもしばしばあり,患者のQOLを低下させているケースも多い。
 ところで,一口に緩和ケアといっても,疾患により対応も変わってくる。乳がん,前立腺がんのように再発しても加療の時期が比較的長いものもあれば,胆道系がんのように短いものもある。重要なことは,患者の予後を予測し,計画的にどういう症状が起こるかその対応策を決めていくことである。

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