<< 一覧に戻る

がん病変の治療とともに歩む緩和ケア

大腸がん患者へのがん治療と緩和ケアの連携

Coordination between cancer treatment and palliative care for colorectal cancer patients

林和彦

がん患者と対症療法 Vol.22 No.2, 23-28, 2011

Summary
 大腸がん治療においては,化学療法を中心とした集学的治療法の進歩が目覚ましく,切除不能・再発大腸がんの生存期間は2年を超えるようになった。終末期の大腸がんは病変の発生部位や大きさ,浸潤の程度により出現する症状が大きく異なり,消化管通過障害,骨転移や骨浸潤に伴う疼痛,直腸膀胱障害,腹水,リンパ浮腫など非常に多彩な症状を呈するが,集学的治療により長期生存が珍しくなくなった今日では患者の身体的苦痛の軽減のみならず精神的な苦痛やスピリチュアルな苦悩,社会的な苦痛に対しても十分に配慮し,より全人的な立場で治療を行うことを心がけるべきである。

In the treatment of colorectal cancer, advances in multimodality therapy with chemotherapy have been dramatic. Nowadays, patients with unresectable, recurrent colorectal cancer can live more than 2 years. Symptoms of end-stage colorectal cancer vary greatly, including gastrointestinal obstruction, pain from bone metastases or bone invasion, bladder and rectal disturbance, ascites, and lymphedema, depending on the location, size, and degree of invasion of the lesion. Now that multimodality therapy has made long-term survival possible, we should try to provide more well-rounded treatment for patients, paying special attention to their psychological, spiritual, and social distress, in addition to physical pain.

Key Words
■大腸がん(colorectal cancer) ■腸閉塞(bowel obstruction) ■緩和的放射線療法(palliative radiation therapy) ■緩和的化学療法(palliative chemotherapy) ■conversion therapy

はじめに

 近年,大腸がん治療においては新規薬剤による化学療法を中心とした集学的治療法の進歩が目覚ましく,切除不能・再発大腸がんの化学療法施行例の生存期間中央値は2年を超え,さらに延長しつつある。また,根治切除不能がんでも化学療法を施行することによって根治手術が可能になったり,医療用麻薬でもコントロールできなかった難治性疼痛が化学療法や放射線療法で軽減するような症例もしばしば見受けられるようになり,大腸がんにおける緩和ケアの意義も徐々に変わりつつある。
 本稿では,大腸がん終末期に出現することの多い症状とその対処について概説する。

大腸がんの終末期における典型的な症状とその対策

 大腸がんは,原発巣の発生部位や深達度,転移巣や再発巣の発生部位や大きさによって出現する症状が大きく異なるが,特に終末期においては局所の進行や腹膜播種に伴う消化管通過障害,骨転移や骨浸潤に伴う疼痛,局所浸潤や放射線障害による直腸膀胱障害,化学療法による末梢神経障害,腹水,リンパ浮腫など,非常に多岐にわたる。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る