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がん病変の治療とともに歩む緩和ケア

乳がん患者へのがん治療と緩和ケアの連携

Treatment of breast cancer and connection with palliative care

河野勤

がん患者と対症療法 Vol.22 No.2, 18-22, 2011

Summary
 乳がんは現在単一の疾患として認識することはできなくなっており,大きく3つのサブタイプに分類されている。それぞれ予後,転移形式,薬物療法への反応性などが異なっているため,サブタイプを踏まえて治療方針を考えていく必要がある。乳がんにおいては,薬物療法の進歩により治療効果は高くなっている。また,緩和ケアにも明らかな治療効果があることが判明している。進行・再発乳がんの治療においては,早期から緩和ケアと連携していくことが重要である。

Today, breast cancer can no longer be seen as a single disease; it is broadly classified into three subtypes with different prognosis, metastatic behavior, and response to drug therapy. It is therefore necessary to formulate treatment plans for patients according to the subtype. In breast cancer treatment, therapeutic effects have been increased because of advances in drug therapy, and palliative care has also been found to be obviously effective. In the treatment of advanced or recurrent breast cancer, early collaboration with palliative care is essential.

Key Words
■サブタイプ(subtype) ■抗がん剤(anticancer drug)  ■ホルモン療法(hormonal therapy) ■抗HER2療法(anti-HER2 therapy) ■ビスフォスフォネート製剤(bisphosphonates) ■早期からの緩和ケア(early palliative care)

はじめに

 わが国の乳がんの罹患率は1990年代に入り女性のがんのなかで第1位となり,今後も増加していくことが予想されている。
 乳がんは現在単一の疾患として認識することはできなくなっており,いくつかのサブタイプに分類されている。すなわち,エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体が発現しているルミナル型乳がん(細胞増殖能によってさらにルミナルAとルミナルBに分類される),HER2蛋白が過剰に発現しているHER2陽性乳がん,エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体とHER2蛋白の3つがともに発現していないトリプルネガティブ乳がんに分類されることが多くなっている1)。これらのサブタイプはそれぞれ予後,転移形式,薬物療法への反応性などが異なっているため,緩和ケアを考えるにあたってもサブタイプを踏まえて考えていく必要があるだろう。

早期乳がんから局所進行乳がんまでの治療について

 Stage Ⅰの早期乳がんからStage ⅢCの局所進行乳がんまでは,完治を目指して手術,薬物療法,放射線治療の組み合わせによって治療され,その治療成績も向上してきている。しかし,治癒は得られても抗がん剤やホルモン療法による副作用によって長期に強い苦痛を抱える患者も多い。たとえば,タキサン系薬剤(パクリタキセルなど)による末梢神経障害や,ホルモン療法によるホットフラッシュなどが挙げられる。これらの症状に対しても症状緩和をめざした薬物療法が行われるが,時として専門的な緩和ケアが必要となる。

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