デスロラダジンは,ヒスタミンH1受容体に選択的に結合する化合物(H1拮抗薬)1)で,すでに広く使用されているH1拮抗薬ロラタジンの主要活性代謝物である(図1)。ロラタジンはCYP3A4,CYP2D6で代謝されて活性代謝物であるデスロラダジンになるが,CYP活性の遺伝子変異や個体差のために,活性代謝物の薬物動態に個体差がみられることがあった2)。活性代謝物であるデスロラダジンを服用すると,代謝過程の影響を受けないため体内での動態が安定する。また空腹時と食後で血中濃度に差がなく,食事に関係なく服用できる3)。
デスロラダジンは,非鎮静性の抗ヒスタミン薬として120以上の国や地域で承認され4),季節性アレルギー性鼻炎や蕁麻疹に広く用いられている。日本では,2016年11月から12歳以上の小児および成人のアレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患(湿疹・皮膚炎,皮膚そう痒症)に伴うそう痒に対して処方が可能である。