<< 一覧に戻る

目でみるページ(喘息)

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

松瀬厚人

喘息・アレルギー Vol.30 No.2, 2-6, 2017

気道は外界に直結する臓器であり,呼吸により無数の外来因子が気道内に到達する。外来因子の中でも環境中に存在する真菌は多くの呼吸器疾患の病態形成に関与している。真菌の中でも,特にAspergillus fumigatus(Af)は人間の体温下でも生存可能なため,呼吸器疾患の原因真菌として重要視されている。正常の免疫能を有する健常人では気道に到達したAfは容易に排除されるが,免疫不全状態の患者においては感染症である単純性肺アスペルギローマや慢性進行性肺アスペルギルス症,侵襲性肺アスペルギルス症などが発症する。一方,アトピー素因を有する喘息患者において発症するのが,アレルギー性呼吸器疾患のアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis:ABPA)である。ABPAは欧米においてはアレルギーの診療において忘れてはならない疾患とされており,わが国においても疾患概念の普及に伴い近年報告症例が増加し,欧米とは異なる本邦独自の臨床像が明らかになりつつある。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る