「Summary」わが国の室内環境で検出されるダニでアレルギーの原因として問題になるものはヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種である。両者ともにチリダニ科の近縁種であり互いに交差抗原性が高いため,アレルゲンとしては両者を区別する必要はない。室内環境のダニアレルゲン汚染の指標としては,室内塵1グラム当たりの両アレルゲンのグループ1アレルゲン量の合計値,Der 1量(μg/g dust)を用いることが多い。これらのダニによる室内環境汚染と曝露は吸入性アレルギー疾患の発症,増悪の重要な危険因子であり,特に高温多湿なわが国はダニの高濃度汚染地域であり,その臨床的重要性はきわめて高い。これらのアレルゲンの回避指導としては,特に寝具の対策が重要である。週に1回のシーツ交換と布団の掃除機掛けを行えば,寝具のダニアレルゲンレベルの減少が期待できる。
「Key words」ヤケヒョウヒダニ,コナヒョウヒダニ,Der 1,寝具,喘息,アレルギー性鼻炎