喘息・アレルギー診療のトピックス
ダニアレルギー性疾患に対する純化アレルゲン免疫療法皮下注射製剤
喘息 Vol.28 No.2, 102-105, 2015
「はじめに」吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid;ICS)を中心とした薬物療法の進歩により,気管支喘息(以下,喘息)はコントロールが良好な疾患となった。しかし近年では,ICSは喘息の自然経過を修飾しないことがわかり,対症療法にすぎないと位置づけされつつある。一方,アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患における免疫学的寛解を期待できる現存する唯一の治療法である。免疫療法は,病態の根本に存在するアレルゲン特異的Th2型免疫応答の制御を治療標的とし,疾患の自然経過を修飾する可能性を有する点で,薬物療法とは異なった意義が期待できると考えられる。免疫療法のアレルギー治療における期待と評価は国際的には高まりつつあるが,わが国では標準化ダニアレルゲンが薬価収載されていなかったこと,本療法を施行できる施設あるいはアレルギー専門医が少ないことなどから,今までは十分には施行されてこなかった。
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