対談「わが研究を語る」では,一つの研究テーマに真摯に取り組んでこられた先生方から,その研究に着手されたきっかけやその成果,現在の研究から今後の展望についてまでのお考えをお聞きしてまいります。今回は,吸入ステロイド薬(ICS)を用いた喘息治療に早くから着手され,また気道疾患に関する研究の第一人者でもある株式会社仙台気道研究所代表取締役の田村弦先生をお招きし,「成人喘息治療における吸入ステロイド薬―過去・現在・未来―」をテーマとしてお話をうかがいます。(聞き手:中川武正)
「80年代から重症例に吸入ステロイド薬を導入」
中川:吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid;ICS)が本邦で発売されたのは1978年のことですが,田村先生は現在に至るまで,常にICSを用いた薬物治療の第一線に立ってこられました。まず,先生とICSとの出会いについてお話しいただけますか。
「80年代から重症例に吸入ステロイド薬を導入」
中川:吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid;ICS)が本邦で発売されたのは1978年のことですが,田村先生は現在に至るまで,常にICSを用いた薬物治療の第一線に立ってこられました。まず,先生とICSとの出会いについてお話しいただけますか。