特集 喘息急性増悪の病態と治療Up-To-Date
運動,冷気による喘息増悪の病態
Pathophysiology of bronchial asthma exacerbation by exercise and cold air
喘息 Vol.28 No.2, 32-38, 2015
「Summary」運動,冷気による喘息増悪の病態においては,水分喪失,熱喪失による気道上皮傷害が重要な機序であり,運動誘発喘息,運動誘発気管支収縮が代表的な疾患である。近年は,運動誘発気管支収縮の病態を有するアスリート喘息が注目されており,今後の研究発展が期待される。
「はじめに」本稿では,運動誘発喘息(exercise-induced asthma;EIA)の運動,冷気による気管支喘息(以下,喘息)増悪の病態について概説し,後に運動誘発気管支収縮[exercise-induced bronchospasm(bronchoconstriction);EIB]の病態を有するアスリート喘息について概説する。
「Ⅰ EIAの運動,冷気による喘息増悪の病態」運動により喘息発作や気管支収縮が生じることを,EIAもしくはEIBと呼んでいる。しかしながら,喘息を有さない健常者でもEIBが生じ,運動により気管支収縮が生じる場合,患者は必ずしも喘息を有するわけではなく,運動が必ずしも喘息発作を生じるわけではないことより,学術的にはEIAの代わりにEIBを用いることも多い。
「Key words」運動,冷気,水分喪失,熱喪失,気道上皮傷害,運動誘発喘息,運動誘発気管支収縮,アスリート喘息
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