特集 脂質メディエーターの基礎と臨床
抗炎症性脂質メディエーター
Anti-inflammatory lipid mediators
喘息 Vol.28 No.1, 54-58, 2015
「Summary」近年になり抗炎症作用をもつ脂質メディエーターの存在が報告され,注目を集めている。アラキドン酸由来のリポキシンA4や,エイコサペンタエン酸(EPA)由来のレゾルビン,ドコサヘキサエン酸(DHA)由来のプロテクチン,マレシンは喘息動物モデルで抗炎症作用を認めている。喘息患者の臨床検体の解析からもリポキシンA4やプロテクチンD1の産生能低下が報告されており,喘息病態形成への脂質メディエーターの関与が示唆される。今後新たな喘息治療薬として抗炎症性脂質メディエーターの創薬応用が期待される。
「はじめに」脂質はエネルギー源や生体膜成分のみならず,生理活性物質=脂質メディエーターとしての役割も重要である。脂質メディエーターは特定の代謝経路を通じて生合成され,細胞外に放出され,特異的受容体を介して比較的低濃度で生理活性を示し,速やかに不活性化される。
「Key words」抗炎症性脂質メディエーター,喘息,ω3脂肪酸,リポキシン,レゾルビン,プロテクチン,マレシン
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