特集 気管支喘息の自然歴とアウトグロー
Ⅳ.炎症の遷延化・沈静化に関わる因子 炎症抑制免疫機構とは
Anti-inflammatory immunologic mechanisms
喘息 Vol.27 No.2, 68-74, 2014
「Summary」生体には過剰な炎症反応が起きないために,さまざまな抑制機構が存在する。制御性T細胞は局所のIL-2を低下させることや抗原提示細胞の機能を阻害するほか,IL-10,TGF-βなどの免疫抑制性サイトカインを産生し,炎症を鎮める。また,好中球などの炎症細胞は細胞間生合成経路を介して,アラキドン酸由来のリポキシン,ω3多価脂肪酸由来のレゾルビン,プロテクチンなどの炎症収束性脂質メディエーターを産生する。レゾルビンの投与は喘息モデルにおいて気道過敏性亢進,肺への好酸球集積,気道上皮の粘液産生のいずれも有意に抑制する。喘息は慢性好酸球性気道炎症であるとの考えのもとに,好酸球のエフェクター細胞としての機能が重視されてきたが,気道リモデリングに関与するTGF-βや抗炎症性脂質メディエーターを産生することが明らかにされ,好酸球の炎症抑制細胞としての役割も見直されている。
「Key words」喘息,制御性T細胞,好酸球,炎症収束,脂質メディエーター,レゾルビン
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