特集 喘息と気道炎症Up-To-Date
ストレスによる気道炎症の修飾
The exacerbation of allergic airway inflammation by psychological stress
掲載誌
喘息
Vol.27 No.1 63-68,
2014
著者名
大野勲
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
呼吸器
/
アレルギー・免疫
/
神経疾患
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
/
アレルギー科
/
耳鼻咽喉科
/
老年科
/
小児科
媒体
喘息
「Summary」気管支喘息の増悪に精神的ストレスが関わることは古くから認識されている. この増悪の本質はTh2免疫応答の増強による気道炎症の悪化であるが, ストレスの受容から気道炎症の悪化に至る経路は不明である. 近年の研究により, ストレス曝露による気道炎症悪化に伴う神経(オピオイド受容体)―内分泌(コルチゾール)―免疫(制御性T細胞)応答が明らかにされつつある. 精神的ストレスにより増悪する喘息病態が, 脳機能の活性化を起点とする新たな喘息フェノタイプとして検証されることが期待される. 「はじめに」Asthma nervosaの病名からも, 気管支喘息の増悪に精神的ストレスが関わることは古くから認識されている. たとえば, 喘息患者の25~35%で精神的ストレスにより喘息症状の悪化を経験していること1)や, 劣悪な社会経済環境, 失業, 近所付き合いのトラブル, 特に喘息患児では家庭内問題や友人関係などのストレス負荷により, 気道過敏性が亢進し喘息発作が誘発され症状が悪化すること2)-4), また喘息患者の生活の質(quality of life; QOL)が低下すること5)も報告されている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。