特集 気管支喘息に合併する病態
運動誘発喘息とエリート運動選手
Exercise-induced asthma and elite athlete
喘息 Vol.25 No.1, 54-59, 2012
[Summary]運動誘発喘息(EIA)は喘息患者にみられる症状で, 重症なほど, 運動が激しく長いほど, 低温・低湿下の運動ほど, そして長期管理が不十分なほど, 高率にかつ強く生じる. そのためにQOLの低下も起きるが, 最も強力なEIA抑制効果を示すのはβ2刺激薬の運動前吸入である. 一方, アスリート, 特にエリートアスリートにおける喘息および高い気道過敏性が最近注目されてきており, 一般の喘息有症率よりも高い可能性も指摘されている. 喘息におけるEIA, エリートアスリートにおける喘息の有症率とその把握状況, 内外のオリンピック選手における検査結果, ドーピングと治療目的使用に係る除外措置(TUE)などについて解説した.
「はじめに」気管支喘息の病態で重要なものの1つに気道過敏性があり, その誘発・悪化因子として運動は重要なものである(図1)1). 運動によって誘発される喘息発作は, 運動誘発喘息(exercise induced asthma;EIA), 運動誘発性気管支攣縮(exercise induced bronchospasmまたはexercise-induced bronchoconstriction;EIB)と呼ばれている.
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