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特集 気管支喘息に合併する病態

鼻茸・アスピリン喘息

Nasal polyp, aspirin-induced asthma

谷口正実東憲孝小野恵美子三井千尋山口裕礼石井豊太三田晴久秋山一男

喘息 Vol.25 No.1, 45-53, 2012

[Summary]好酸球性鼻茸は, 好酸球性副鼻腔炎に併発しやすく, 小児喘息には稀である. 成人後発症喘息や重症喘息に合併しやすく, 特にアスピリン喘息(AIA), アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)には高頻度で認める. その組織像は, 強い好酸球浸潤と浮腫を特徴とする. 鼻茸は成人喘息の難治化因子として世界的に注目されているが, 逆に喘息を合併した鼻茸は難治で易再発性である. 両者の合併は難治性の好酸球性上下気道炎症を形成する. 鼻茸組織中のエイコサノイド濃度において(AIAだけでなく非AIAでも), システイニルロイコトリエン(CysLTs)増加, プロスタグランジン(PG)E2低下, リポキシン(LX)低下が確認されており, 内視鏡下副鼻腔手術後には尿中LTE4(U-LTE4)が著明に減少する. これらのエイコサノイド不均衡は, AIAの下気道や全身で認める現象と同等であり, AIA類似病態が局所に発現している可能性がある. これらの成因はいまだ不明であり, この解決が今後の成人喘息の病態解明のブレイクスルーになるかもしれない.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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