特集 気管支喘息に合併する病態
下気道合併症(COPD,その他)
Lower respiratory tract complication ; COPD and others
喘息 Vol.25 No.1, 15-19, 2012
[Summary]慢性閉塞性肺疾患(COPD)と気管支喘息の合併頻度は, 最低でも高齢者喘息の20~30%程度にみられ, COPD合併喘息の診断に関しては, 臨床症状, 喫煙歴, 肺機能検査[肺拡散能(DLco)]や喀痰検査, 呼気一酸化窒素(NO)濃度測定, 高分解能CT(HRCT)による低濃度吸収値領域(LAA)の存在などが有用である. 治療では, 禁煙が最も効果的で, 薬物療法では吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性気管支拡張薬の併用が有用である.
「はじめに」本邦でも人口の急激な高齢化などにより, 高齢者喘息や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)が増加しつつあり, 喘息, COPDともに約500~600万人の患者数が推定されている. 安定期の両疾患はいずれも気道炎症を基本とするが, 炎症の性質が異なり, 薬物に対する反応性の違いなどからも異なる疾患と考えられている1)2). しかし, 両疾患の臨床症状には類似点も多く, 特に高齢者喘息の場合は両者が合併していると考えられる症例も少なくない.
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