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神経ペプチドとアレルギー

第2回 気管支喘息における非アドレナリン作動性抑制性神経系の役割

徳山研一

喘息 Vol.24 No.2, 84-87, 2011

はじめに
 気道における自律神経系には,交感神経系(=アドレナリン作動性神経系)と副交感神経系(=コリン作動性神経系)に加え,両神経系を薬理学的にブロックしておいても自律神経刺激によって気道の反応が生じる非アドレナリン非コリン作動性神経系(nonadrenergic noncholinergic nervous system;NANC)が存在する。

はじめに(続き)

NANCには,気道収縮性に働く興奮性NANC(excitatory-NANC;e-NANC)と拡張性に働く抑制性NANC(inhibitory-NANC;i-NANC)とがある。各神経系の気道における分布を図1に示す。

また,気管支喘息(以下,喘息)で想定される自律神経のアンバランスの模式図を図2に示す。

e-NANCは知覚神経の1つである無髄線維のC線維が関与し,そのなかに含まれるサブスタンスPやニューロキニンA,ニューロキニンBなどの,いわゆるタキキニンやカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide;CGRP)といった神経ペプチドが放出されることにより活性化される。その反応は喘息でみられる気道炎症の病態に酷似しており,神経原性炎症と呼ばれる。その詳細については,前号の本シリーズで解説した。
 一方,気道拡張性に働くi-NANCは解剖学的には副交感神経遠心路にあたり(図1),同神経末端に存在するアセチルコリンと共存しているvasoactive intestinal peptide(VIP)や一酸化窒素(nitric oxide;NO)が,その神経伝達物質と考えられている。NOはVIPと同様に,やはりアセチルコリンと同一神経内に共存している神経性NO合成酵素(neuronal NO synthase;nNOS)により合成される。神経刺激が加わるとVIPやNOはアセチルコリンと同時に神経末端より放出され,アセチルコリンと逆に喘息の病態に対し抑制性(拡張性)に働く。
 “神経ペプチドとアレルギー”シリーズ第2回目の今回は,喘息におけるi-NANCの役割について現在までの知見を解説する。また,i-NANCの神経伝達物質の1つと考えられている神経ペプチドのVIPについて,その気道における意義,喘息治療薬としての展望について触れたい。

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