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免疫療法の作用メカニズム
Mechanism of immunotherapy
喘息 Vol.24 No.1, 2-7, 2011
Ⅰ.免疫療法の効果
抗原特異的免疫療法は,今から100年前の1911年,セント・メリー病院のDr. L.Noonによって枯草熱患者を対象に初めて行われた。発表された論文によると,当時,枯草熱は未知の毒素で起こると想定されており,抗毒素として抗原特異的免疫療法が行われた。
Ⅰ.免疫療法の効果(続き)
その後さまざまな変遷を経て,現在ではアレルギー性鼻炎に対して唯一根治性のある治療法とされている。一般的な抗原特異的免疫療法は,アレルゲンワクチン(定量されたアレルゲンの正式名称)を順次増量しながら皮下投与,もしくは舌下投与(図1)する方法である。
抗原特異的免疫療法は,1990年以前は皮下投与で行われるのが通常であった。2000年までに行われた皮下投与による免疫療法に関する論文,およそ600編をまとめると,以下の6項目に集約される。①劇的に症状の消失を認める症例も存在するが,この療法の効果は約60%である,②アレルギー症状を約40~50%に減少させる,③薬物の併用は確実に減少できる,④定期的な長期の通院が必要である,⑤皮下投与は痛みを伴う,⑥副反応として全身発赤,気管支喘息誘発,アナフィラキシーショックの可能性がある1)。
その後,アレルゲンワクチン投与経路は皮下投与から舌下投与に変更された2)3)。舌下投与になると皮下投与でみられる痛みは消失し,全身発赤,気管支喘息誘発,アナフィラキシーショックの頻度が著明に減少した。一方で効果の点では,ほぼ皮下投与と同じであった。
免疫療法の効果と抗原特異的免疫グロブリン(immunoglobulin;Ig)Eの変化を図2に示す。
免疫療法を開始すると,一時的に抗原特異的IgEが上昇する。効果としては,特異的抗原に対して遅延反応がより早く低下し,即時型反応の特異的抗原による皮膚テストの膨疹と発赤は遅れて低下する。臨床効果は,その中間の反応をとる。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。