Year in Review―成人編
喘息の特殊型1:咳喘息と関連病態
喘息 Vol.21 No.2, 60-66, 2008
喘鳴がなく咳のみを症状とする喘息を意味する咳喘息は, 喘鳴を伴う典型的喘息と同様に気道過敏性亢進, 好酸球性気道炎症, 気道リモデリングといった病態生理学的特徴を有し, 気管支拡張薬や吸入ステロイド薬が有効である. 一方, 咳喘息と類縁の疾患として, わが国からアトピー咳嗽, 欧米から非喘息性好酸球性気管支炎(non asthmatic eosinophilic bronchitis)の概念が近年提唱されている. 本稿では, いずれも咳を唯一の症状とし好酸球性炎症が関与するこれら3疾患の概念, 臨床像, 病態について概説し, それぞれの共通点や相違点についてまとめた. 「はじめに」Cough variant asthma(わが国では咳喘息と呼ぶ)の疾患概念が米国から提唱されたのは, 1970年代のことである1). 広範な気道閉塞により惹起される喘鳴が喘息に必須の症状と理解されていた当時, “喘鳴がなく咳のみを症状とする喘息”を意味する本症は一見矛盾した概念であったが, 次第に認知され, 近年ではこの名称は国内外の喘息治療ガイドラインなどにおいて広く使用されるに至っている.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。