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目でみるページ(喘息)

慢性咳嗽の発生機序と特異的治療に基づく診断フローチャート

片山伸幸藤村政樹

喘息 Vol.20 No.2, 2-7, 2007

洋の東西を問わず, 咳嗽への関心は高まっており, 欧米でも咳嗽に関するガイドラインが発表されている. しかし, わが国での咳嗽の疾患概念や頻度が欧米のものとはかなり異なることから, わが国の実情に合った病態診断, 治療の方法が模索されている. 咳嗽についての研究はさらに発展していくであろうが, そのひとつの区切りとして2005年9月に咳嗽に関するガイドラインが日本呼吸器学会から発表された. 本稿では, その内容などから特に慢性咳嗽についての病態と診断フローチャートにかかわる部分を中心に紹介する. I. 慢性咳嗽の定義 咳嗽の原因は, その持続期間によって大きく異なるため, 発症から3週以内を急性咳嗽, 3~8週を遷延性咳嗽, 8週以上を慢性咳嗽と定義し, 原因疾患や病態が検討されている. 急性咳嗽の原因の多くは呼吸器感染症だが, 遷延性咳嗽では持続期間が長くなるほど原因に感染症が占める割合は少なくなり, 慢性咳嗽では感染症以外の原因によるものが大半であると考えられる(図1). 臨床研究を行う場合, 感染症の可能性が低い慢性咳嗽を対象としたほうが検討は容易であるが, 一般臨床の場では8週以上咳嗽が持続している患者だけを対象にするのは現実的ではなく, 遷延性咳嗽の段階で診断治療を開始することが多いと思われる. 遷延性咳嗽の原因には, 当然慢性咳嗽の原因が含まれる.

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