骨がメカニカルストレスに適応していることは古くから言われており,筋によるメカニカルストレスは骨の成長・維持のみならず発生にも重要である.近年になり筋と骨はともに液性因子を産生する内分泌器官であることが明らかとなり,種々の液性因子を介した両者の相互作用が注目されている.筋から分泌される骨形成を促進あるいは抑制するサイトカインが骨代謝および骨折治癒にかかわっている.
「はじめに」筋と骨が運動器としての機能を果たすためには両者の力学的相互作用が必要不可欠であり,これが最も古くから認識されている筋と骨のクロストークであるといえる.その後,筋収縮による力学的負荷が骨量の維持・増加に働いていることが知られるようになり,筋と骨との間にはこのようなメカニカルな相互作用のみが存在すると長らく考えられてきた.
「key words」メカニカルストレス,マイオカイン,骨代謝,IGF-1,FGF-2,myostatin