椎体骨折の予防効果が示されている薬剤は多くあり,第二世代以降のビスホスホネート,テリパラチド,SERM,結合型エストロゲン,デノスマブ,エルデカルシトールなどが挙げられる.一方,非椎体骨折や大腿骨近位部骨折の予防効果については,強力な骨粗鬆症治療薬においてその予防効果が実証される傾向にあるものの,薬剤によりさまざまである.本稿では,「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2011年版」を踏まえつつ,各薬剤の骨折予防のエビデンスについて概説した.
「はじめに」骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし,骨折リスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されている.現在では,さまざまな骨粗鬆症治療薬が使用可能となっている.骨粗鬆症治療の目的は,骨密度の増加ではなく,骨折予防とそれに基づく生命予後やQOLの改善である.したがって,骨粗鬆症治療薬による骨折予防効果のエビデンスを理解することは重要である.
「key words」骨折予防,骨粗鬆症治療薬,椎体骨折,非椎体骨折,大腿骨近位部骨折