2007年に,骨組織がオステオカルシンというホルモンを産生し,糖・エネルギー代謝を調節するという新しい機構が発見された.それから現在までの8年間で,骨ホルモンとしてのオステオカルシンの研究は進歩し,糖代謝,雄の生殖能,脳の発達など,全身のさまざまな組織での新たな役割や,受容体の候補が発見されている.本稿では,エネルギー代謝に関与するオステオカルシンの広範な作用と今後解決すべき課題について概説する.
「はじめに」近年,骨組織は少なくとも2つのホルモン,FGF23とオステオカルシン(OCN)を分泌し,リン代謝やエネルギー代謝を調節する内分泌器官であることが明らかになった.OCNは骨や歯に存在する非コラーゲン性カルシウム結合タンパク質であり,骨芽細胞内でγ-carboxylaseによってカルボキシル化された後,その大部分が骨基質として骨に埋め込まれるが,その一部は血中にも放出される(図).
「key words」オステオカルシン,ホルモン,糖尿病,肥満,インスリン抵抗性,受容体
「はじめに」近年,骨組織は少なくとも2つのホルモン,FGF23とオステオカルシン(OCN)を分泌し,リン代謝やエネルギー代謝を調節する内分泌器官であることが明らかになった.OCNは骨や歯に存在する非コラーゲン性カルシウム結合タンパク質であり,骨芽細胞内でγ-carboxylaseによってカルボキシル化された後,その大部分が骨基質として骨に埋め込まれるが,その一部は血中にも放出される(図).
「key words」オステオカルシン,ホルモン,糖尿病,肥満,インスリン抵抗性,受容体