【特集 疼痛治療の最近の進歩と骨・関節疾患】
慢性腰痛の治療
掲載誌
THE BONE
Vol.27 No.1 55-61,
2013
著者名
川口善治
記事体裁
抄録
疾患領域
神経疾患
/
骨・関節
診療科目
脳神経外科
/
整形外科
/
麻酔科
媒体
THE BONE
最近行われた複数の研究によると, わが国で腰痛を有する患者は約1,000万人以上の相当数にのぼると推定される. 慢性腰痛とは3ヵ月以上持続するものと定義されるが, 診断や治療が困難であること, また労働者において長期休業の原因になりうることから, 現代の社会問題となっている. 慢性腰痛はさまざまな病態によって引き起こされるが, まずは正確な診断を行う必要がある. 特に診断においてはred flagと称される疾患を見逃さないことが重要である. 慢性腰痛に対しては薬物療法の他, ブロック療法, 物理療法, 運動療法, 作業療法, 心理療法, 認知行動療法などさまざまな面から多角的アプローチが考慮される. わが国では近年新たな薬剤が使用されるようになり, 効果が期待される. 一方, 心の負荷を抱える慢性腰痛患者には, 医療者は常に暖かい対応を心がけ, 痛みのすべてが解決できなくとも患者に安堵感を与えられるような医療, すなわちcureからcareの視点をもつことが大切である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。