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特集 疼痛治療の最近の進歩と骨・関節疾患

特集にあたって

宗圓聰

THE BONE Vol.27 No.1, 19-19, 2013

慢性疼痛の有病率については, 北欧, 米国, 香港などが30%を超し, 欧州, オーストラリアが20%前後に対して, わが国は10%前半とされてきた. しかし, 最近のわが国の調査ではいずれも20%を超す結果となっている. 調査法や調査対象の差はあるものの, 慢性疼痛の有病率は増加していると考えざるを得ない. これまでの調査で痛みの部位として最も多いのは腰であり, 次いで肩, 膝, 頚, 頭, 手指, 足・足踵, 肘, 股関節, 大腿などの順番とされ, 骨・関節(運動器)疾患に関連した疼痛がほとんどを占めることになる. わが国の急速な高齢化を考えれば, 今後も運動器疾患に関連した慢性疼痛が増加することは想像に難くない. 運動器の障害による要介護の状態や要介護リスクの高い状態を表すlocomotive syndromeとともにlocomotive painとそれに伴うADL, QOLの悪化に対する対処が今後ますます重要になると考えられる. このような背景から今回, 運動器の疼痛に焦点を当てて疼痛のマネジメントを考え直すために本特集を企画した. まず, 疼痛の概念を今一度振り返り, わが国の運動器慢性疼痛の実態を知り, 各種疼痛治療薬について復習するとともに, 疼痛の診断および薬剤選択の考え方を復習していただきたい. さらに, 疼痛治療が欠かせない主な運動器疾患として, 慢性腰痛, 変形性関節症, 関節リウマチを取り上げ, それぞれの疾患における疼痛治療について再確認していただきたい. また, 運動器疾患については, これまで疼痛の評価はあまり厳密には行われてこなかったのが実情であるが, 疼痛治療を厳密に行うためには評価も重要と考え, その方法も解説していただいた. 最後に慢性疼痛の謎を解く鍵として注目されているmesolimbic dopamine systemについて解説していただいた. 疼痛管理に関連する領域のエキスパートの先生方に執筆していただけたことで, 本特集が日常診療における運動器疾患の疼痛管理に役立てば幸いと考える.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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