全文記事
骨粗鬆症を取り巻く医療経済
Ⅱ.骨粗鬆症の医療経済 転倒の医療経済に及ぼす影響
掲載誌
THE BONE
Vol.23 No.2 63-66,
2009
著者名
林?史
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
代謝・内分泌
/
骨・関節
診療科目
一般内科
/
整形外科
/
リハビリテーション科
/
産婦人科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
泌尿器科
/
老年科
媒体
THE BONE
高齢転倒者のうち男性では7.6%の骨折を含めて21.2%が重症, 女性では10.1%の骨折を含めて15.9%が重症となる. 全国で生じる約14万8千人の大腿骨近位部骨折患者の医療費は1人あたり132万円であり, そのうち13.6%が寝たきりとなる. 転倒に要する医療費は年間約1,955億円, 医療・介護費は約9,141億円に達することから, 4,500億円以下で転倒予防を行い, 転倒・骨折率を1/2以下に抑えることができれば見合うことになる. 「転倒による怪我」2008年に開催された日本骨粗鬆症学会において, 坂田らは前年に行った第5回大腿骨近位部骨折全国頻度調査の中間報告を行った. それによると, 1年間に男性は31,300人, 女性は116,800人, 合計148,100人が大腿骨近位部骨折を受傷しており, この数は1987年の受傷者数53,200人に比べて約2.8倍にも及んでいる. 一方, 筆者が18年間勤務していた東京都老人医療センターにおいて, 21年間に治療した大腿骨近位部骨折患者2,000例の臨床像について調査した五十嵐の報告によると, 1,689例(84.5%)は転倒が骨折の直接的な原因となっていた1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。